東豊丸サケ漁航海日誌

⑥綱さばきweb

9月14日4時過ぎ、雄武漁港中央埠頭に着くと東豊丸の出漁準備は万端、氷を積み込めば直ぐ出発とのこと。風もなく波は穏やか、船首の彼方はマゼンダ色のスクリーンが輝度を増しています。朝5時前、ひっそりとたたずむ漁港を後に、さほど遠くない漁場へ間もなく着くと水平線は茜色に染まり始めていました。とり玉を引き上げるのを合図に屈強な漁師達の息の合った網起こしが始まります。後方では綱捌きや巻き上げる年配者も機敏に立ち回り、合間をみては網起こしに加勢。漁は海上のダンシングチームのように寸分たがわぬ動きで、リレーのバトンパスさながら次から次へと繰り広げられ、クライマックスはマクリと呼ばれるタモで水しぶきを上げて身を反転させる鮭をすくいあげて船倉へクレーンで運びます。1万尾も収納できる船倉、水揚前に船主の村上さんが、おこす網の感触から予想した通り今日は400尾余りと、前日の1300尾に比べて少ない漁でしたが、今年は魚体が比較的大きく、海水温の下がる今月下旬からの漁に期待しているようです。水揚げ後は6規格に選別され、ブランド鮭「雄宝」は鮮魚で3キロ以上が基準、厳しくえり分けられます。帰港する船上でほっと一服する漁師たちの背後の海は黄金色に輝いていました

以上が私のオホーツク初航海日誌でしたが、きっかけはホラネロ『ヒグマのうた』のCDでした。雄武漁協の協力のもと、漁船のエンジン音や海鳥の鳴き声を収録して作曲された「アバリ(網針)」をワイン片手に聴きながら、無性に漁船に乗りたくなり、クラシックカーフェスタの打ち合わせのため来局していた鮭漁船網元の村上さんに衝動的に電話していました。雄武で幼少期を過ごしたホラネロの谷藤さん(両人とも作編曲もするフルーティストとギタリストの夫妻)のジオミュージックいいね、と話し合っていたのを思い出し、頼んだところ、明朝は凪だしタイミングがいい、と快諾してくれたのでした。ホラネロの「アバリ(網針)」は下記のURLからアクセスし、雄武の鮭漁の動画とともに楽しめます。

https://youtu.be/6VJ1HbJAueU

 

 さて皆さん!9月29日(日)9時〜13時「雄武の宝うまいもんまつり」が開催されます。鮭つかみ取りや焼き床、この祭りならではのうんまいもんのオンパレード!クラシックカーフェスティバルなど楽しいイベントも盛りだくさんです!

ぜひ雄武へお越し下さい。

※ホラネロのプロフィール(ホラネロのHPより)

 第13代オホーツク観光大使。オホーツク圏ゆかりの素材、流氷、黒曜石、農作物に音素材を求めたジオミュージックや、だれもが口ずさむことのできる‘日本のうた’をアレンジ…地元愛を音楽に託し、魅力ある地域づくりを次世代に繋いでいくための活動にも力を注いでいる。

Flutist 谷藤万喜子:東京学芸大卒後、東京芸大研究科修了。音楽コンクール入賞後、NHK「午後のリサイタル」に出演ほかオーケストラ、室内楽、リサイタル等多岐にわたりステージを展開。

Guitarist,Composer,Arranger 本田優一郎:東京学芸大音楽科卒。NHKみんなの歌「幸せのカバン」作編曲、ギター演奏で参加。宇多田ヒカル、THE ALFEE他の作品やライブに作編曲、ギターリストとして参加。