ほたて放流記 毛がにやほたての漁を取材したいと考えていた折、友人がほたての稚貝作業をやっており、船に乗せてもらえるように親方にお願いしてもらいました。素人の私が船に乗ることは危ないことなのですが、「放流作業なら」という許可をいただき、5月21日(土)の早朝おうむ幌内港に向かいました。船酔いが心配でしたが、当日は朝から晴天、凪の海でとてもラッキーでした。

5時前に幌内港に到着。深夜に連段かご(去年の秋からほたての稚貝を育てるために海に沈めていた長いかご)を引き上げてきた漁船が港に着いたところでした。そこから1時間ほど陸仕事(おかしごと)が始まります。連段かごをクレーンで吊り上げ、陸にあげます。それを次々にフォークリフトで作業場に運び入れます。中には男女50人くらいの人がいて、コンベアに乗せられ流れてくる連段かごからほたての稚貝を外す作業を行います。みなさん、手際が良くすごいスピードで作業は進められていきます。

この「スピード」というのが大切で、ちゃっちゃと仕事をしなければ稚貝が弱ってくるわけです。普段は海の中にいるほたてが陸に上がるということがストレスになるようで、漁師さんたちは再三稚貝に海水をかけ、できるだけ優しい環境を作ってあげます。友人や若い漁師さんたちもフォークリフトを自在に操り、ものすごいスピードで稚貝を運び込んでいきます。みなさん、自分の仕事をきっちりとこなしているなぁという印象を受けました。毛がにまつりでお世話になった親方さんは「ここの連中はみんな仕事が早いからね〜」と誇らしく話していました。

外された稚貝は3.5cm以上の大きさになっていて、それをプラスチックのかごに詰めていきます。一かごの重さが約30kgです。びっしりと稚貝を詰めたかごを再び漁船に乗せます。そこまでが陸仕事。さぁ、稚貝を積んだ船は放流先まで進んでいきます。今回は沢木沖での放流です。そこでほたては3年間成長し、成貝となって漁獲されるわけです。

幌内港から沢木沖は雄武の端から端ですので一時間ほど時間がかかります。凪の海でしたので風も気持ちが良かったです。途中イルカの姿も見られ、ある意味観光客気分を味わいました。

放流場に着くと作業開始です。30kgのかごに詰めた稚貝を次から次へと海に放流していきます。撮影もそこそこに私も作業を手伝いましたが、重いかごなので腰にくるわ、波があれば船べりから海に落ちる心配もしなければいけないわで、大変な仕事だなと痛感しました。漁師さんたちは命がけでやっているわけですね。

放流は15分くらいで終了し、あとは一路幌内港に戻ります。稚貝を積んでいない船は軽くなった分スイスイと白波を蹴立てて進んでいきます。カモメが飛んでいたり、オオワシを見られたりで、ここでも観光客気分。ビールでもあれば言うことなしです。(もちろんないですが)

港に到着し、お世話になった金光丸の親方さんや船頭さんにご挨拶をして、私の取材は終了となりました。数時間の取材でしたが、本当にみなさんテキパキ働く姿が印象的でした。沖に出れば死と隣り合わせな危険な仕事でもあるということも痛感しました。しかし、大きな声で言葉を掛け合い互いの存在を確認しあいながら働く姿は都会のひ弱な子どもたちにも見せたくなるものでした。それくらい存在感のある働きぶりだったと思います。

貴重な体験ができました。ありがとうございました。