「タオちゃんのおうむ発見」北海道らしい牧歌的風景ー牧草ロール

雄武だけではなく、北海道全体で、酪農は地域の産業として重要な役割を担っています。そのため、北海道と言うと、青空と緑の畑を背景にして乳牛たちがのんびり草を噛んでいるというイメージがわく人は少なくないと思います。

雄武町には8月下旬から3番牧草の収穫時期になり、車を運転している時、牧草ロールをあちこちで見かけていると思います。酪農家さんにとって、毎日の搾乳や牛の世話をしながら牧草収穫もこなすこの時期が、猫の手も借りたいぐらい忙しくて、また収穫した牧草の良し悪しが乳量や乳質を決定すると言われています。

牛たちの主食は、冬の飼料のことも考えて、青草以外、酪農家さんは乾草やサイレージも与えています。  

乾草
乾草
サイレージ
サイレージ
牧草ロールと秋の空
2019年フォトコンの応募作品「牧草ロールと秋の空」

乾草とは刈り取って、天日で干した牧草です。水分は12〜15%まで減って、保存性を高める一方、繊維が豊富で牛たちが満腹になって満足したり、胃の健康維持にも役立ったりしています。そして、ロールケーキみたいな牧草の黄色は空の青・畑の緑と相まって、北海道らしい牧歌的風景なので、雄武町のフォトコンテストの撮影対象としてよく選ばれています。

牛さんの好みの主食「サイレージ」は柔らかく甘酸っぱい匂いが食欲をそそります。青刈りした牧草をサイロ(容器の施設)に詰め、1〜3ヶ月間発酵させたもので、いわば「漬物」です。サイレージは乳酸も栄養も水分もたっぷり、乳の素となる牛の飼料です。

昔は発酵させるため、レンガやコンクリートブロック積みのタワーサイロに刈り取った牧草を詰め込んできましたが、修理やメンテナンス費用が大きく、時代のコスト削減の流れと共に、現在よく見かけるのはビニールで巻いてある「ラップサイレージ」のものです。

双六遊び

作り方は収穫した牧草を「ロールベーラー」という農業機械でロールに圧縮してから、ラッピングマシンで白や黒などのポリ樹脂フィルムをぐるぐると巻いて、密閉していきます。「じゃ、簡単だね」と私は思ってしまったのですが、そうではなく、良いサイレージができるには酪農家さんの勘と経験は不可欠です。水分が多くなると、発酵は難しくて、手間も腕も要します。うまく発酵できないとカビ・悪臭などが発生しやすくなり、特に牛の健康に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
良いサイレージができたなら、牛たちは「モ〜!おいしい!!」といっぱい食べて、質も量も申し分のない乳を出してくれます。 

「北海道の牛乳は美味しい」とよく聞いて、恵まれた北海道の自然は欠かせない要素ですが、酪農家さんの日々の努力と工夫なくしては北海道の牛乳がこんなに好評であるはずがないと思います。毎日風味が良い牛乳を飲むことができて、酪農家の皆さん、本当にありがとうございます。❤️😘